ノルディック複合団体団体28年ぶりの銅メダルおめでとうございます!最後まで手に汗握る展開で本当に感動しました!!
団体なので、全員の勝利ですが、
最後の山本選手は本当にすごかった。ノーマルヒルで、あの凄まじいラストスパートをしたガイガー選手に負けず劣らずのスプリントを最後に見せてくれて、思わず「行け―!!」と叫んだ方も多かったのではないでしょうか。本当におめでとうございます!
さて、このノルディック複合ですが、ジャンプとクロスカントリーが合体したような競技となっていて、前半のジャンプのポイントに応じてタイム差をつけ、後半のクロスカントリーを行うという競技となっています。
「ジャンプ」・・・瞬発力・テクニック
「クロスカントリー」・・・持久力・精神力
このように、異なった2つの能力が必要とされるため勝者は「キング・オブ・スキー」と称えられます。ちなみに女子部門も近年はあるため、「クイーン・オブ・スキー」と言われることもあるでしょう。
ところで、こんな疑問を持つ方も少なくないのではないでしょうか。”クロスカントリー”で海外勢に対して劣りがちな日本勢が(今回の団体では決して負けていなかった)、前半のジャンプでポイントを稼げるのであれば、ジャンプが得意な選手は『ノルディック複合』だけでなく『スキージャンプ』にもでればいいのでは?二刀流はできないの?
今回は、このジャンプとノルディック複合の二刀流について考えていきたいと思います!
ラージヒルでの距離だけで比較すると、
「スキージャンプ陣」・・・2本中よい方の記録
佐藤 ー 126m
中村 ー 124.5m
小林(潤) ー 128.5m
小林(陵) ー 134m
「ノルディック複合陣」
渡部(暁) ー 125m
渡部(善) ー 133.5m
永井 ー 128.5m
山本 ー 135m
(北京オリンピック公式結果より)
飛型点を抜きに距離だけで見ると「ノルディック複合陣」の方が飛んでいます。他の国を見ても同じです。では、なぜノルディック複合の選手はスキージャンプに出場しないのでしょうか?
その答えの1つは、ジャンプ競技のスタートゲートの位置にあります。スタートゲートとは、ジャンプのスタート時に座っているバーのことです。実はあのバー、低い位置から大体50cm感覚(競技場によって定められている)でナンバーが振ってあり、上に行くほどナンバーが大きくなっています。
当然、上からスタートした方が遠くに飛べる可能性が高くなります。なぜならば、踏切地点までの距離が長くなれば、スピードが出るからです。あらためて飛距離とゲート位置、スピードを合わせて比較してみましょう。
「スキージャンプ陣」・・・2本中よい方の記録
佐藤 ー 126m 91.7[km/h]19gate
中村 ー 124.5m 91.7[km/h]19gate
小林(潤) ー 128.5m 91.4[km/h]19gate
小林(陵) ー 134m 92.2[km/h]20gate
「ノルディック複合陣」
渡部(暁) ー 125m 92.8[km/h]22gate
渡部(善) ー 133.5m 93.1[km/h]23gate
永井 ー 128.5m 93.6[km/h]24gate
山本 ー 135m 93.1[km/h]23gate
(北京オリンピック公式結果より)
いかがでしょうか、スタートゲートの位置の違いとスピードの違いがわかっていただけたと思います。
スタートゲートの位置は、最も飛距離を出しそうな選手がそのジャンプ台で飛んだ際に危険な距離まで飛ばないよう、ジャッジが判断して基準の位置を決めます。競技中も天候によっては変更し危険がないようにする場合があります。
ちなみに、ゲートファクターといって、スタート位置による加点・減点が加わるので、低くすれば不利な条件で飛んだと見なされ加点があり、逆に高くすれば減点となります。
つまり、ノルディック複合の選手たちは、スキージャンプの選手たちよりも有利な条件の中でジャンプを行っているというわけなのです。だから、一概に距離で優っているから二刀流だ!とはいかないというわけです。
過去には二刀流をしていた選手も存在していたようですが、近年はそれぞれの競技のプロフェッショナル化が進み、前述のスタートゲート位置だけでなく、ツアーを転戦することができないなどの問題もあり実現は厳しい状況です。
しかし、大谷翔平選手がメジャーリーグでの二刀流を実現する時代です!
いつの日か、「スキージャンプ」・「ノルディック複合」さらには「クロスカントリースキー」と種目を超えて制覇するような超人が現れる可能性は0ではないと思いますので、夢をもってこれからも競技を見ていきましょう!!
何はともあれ本日は、ノルディック複合団体銅メダル、高木美帆選手金メダル、坂本花織選手銅メダル、本当におめでとうございました!!